2012年2月 No.317 子どもの歯ぎしり
先日、四歳の男の子の歯が欠けているのが心配ですと来院されました。
確かに前から二番目の歯が斜めに欠けているように見えます。しかし特別に歯を何かにぶつけたという事は無いとの事です。
その歯をよく見てみると欠けた所の辺縁は鋭くはないし、擦り合わせたように光っていました。
下顎を軽く上顎に閉じ合わせ、前方斜めに移動すると欠けた所が隙間なく上下の歯がきっちりと合わさるのです。欠けたように見えたのは歯ぎしりよるものでは無いかという事になります。
お母さんにこの子は歯ぎしりをしますか?と尋ねると、よくしますとの事です。
これで歯ぎしりによる歯の咬耗であることが確定でしたのです。
子どもの歯ぎしりは20~30%に見られるといわれています。
歯が生え始めた赤ちゃんも歯ぎしりします。上下の歯が生えて当たるようになると気持ちが悪いのかキリキリ歯ぎしりします。このようにして歯の存在を意識し顎の位置を調整しているようです。ですから、7から10歳頃の乳歯から永久歯への生えかわりの時期にも顎の位置の調整のために必要だともいえるのです。
一方歯ぎしりはストレスと関係があるといわれています。子どもは子どもなりにそれぞれ色んなことに出くわしストレスを感じているようです。その発散として歯ぎしりしているのだとすれば保護者は一概に放置するわけに行きません。実際臨床の場では、保育所、幼稚園、小学校に行き始めた。あるいは下に赤ちゃんが生まれたなど生活に変化があった場合に歯ぎしりが始まったなどと聞く場合がよくあります。歯ぎしりでストレスを発散するのではなくもっと他の良い発散法があればと思います。取りあえずは子どもの歯ぎしりによる為害作用は歯が磨り減るくらいで、大人の場合と違って歯の周りの組織への影響などは殆どありません。気になる歯ぎしりですがあまり神経質にならないことです。
-院長―