2013年1月 No.330 歯髄細胞を保管できるようになりました
再生医療が現実のものとなって来たことを何回かお話して来ました。
それでも、まだまだ夢のお話の域を出る事はなかったのです。しかし先月の“くりあー”でも触れましたが今回一歩前進しました。昨年暮れに当院が株式会社再生医療推進機構に歯髄細胞バンク歯科医療施設として登録いたしました。
この事によって、もし本当に積極的に歯髄細胞を保存しておきたいという方がおられましたら、声をかけてください。
しかるべき手続きをとって、乳歯あるいは親知らず(第三大臼歯)から幹細胞を取り出し、培養して数を増やした後-196℃の液体窒素タンクで長期間冷凍保管します。
再生医療のカギとなる細胞は『幹細胞』と呼ばれる、いわば細胞の“タネ”ともいうべき細胞です。この「幹細胞」の良質のものが、歯髄細胞の中にあることが最近の研究で明らかになったのです。
歯髄はもともと「神経」ですから歯髄細胞を利用した再生医療は、脳梗塞や脊髄損傷、パーキンソン病など神経再生の研究を中心に進められています。特に脊髄損傷は、交通事故やスポーツ事故など、年齢、性別に関係なく、だれにでも起こりうるもので、しかも今のところ有効な治療法がないということで、現在、重点的な研究が行われており、3~5年後の実用化が期待されています。
現在、再生医療で実際に行われているのは、白血病に対して、血液細胞を作る造血幹細胞を移植するなどです。
幹細胞は加齢とともに急激に減少します。再生医療のためには、できるだけ若くて健康な時の、「乳歯」や成人前後の親知らずの歯髄細胞がよいのです。
-院長-