2014年9月 No.350 子どもの「食」と母子関係そして自立
先日、小児歯科の勉強会で食を通した母子関係と子どもの自立についての講演がありました。母親は妊娠中には胎盤を介して、出産後は乳腺を通じて、自分が摂った栄養を子どもに分け与えますが、やがて1歳になる頃までに子ども自身が能動的に摂取し始めます。そして、離乳によって相互的自立を達成します。
その過渡期には親が子どもの自律的摂取を積極的に支援する行動や摂乳中の子どもが母親の乳首を噛む行動も見られます。人の離乳の場面では、親からだけではなく子どもからの拒否によって母親の支援が低下します。ここに子どもの自立を志向した主体性が現れるというのです。子どもの食に関わる者は、子どもにおける主体性・能動性の存在を忘れず、それを正当に評価していく必要があります。
また、子育てに関しては自立自立というのがかけ声のようですが、自立、つまり親離れして友達の中でうまくやっていくには、ひとりで何でもやれる、やるということではなく、他をモデルにしたり他に依存することが大切です。
ですから、他への依存の仕方を教えることが出立への躾の大きな部分です。何でもひとりで出来ることが良くて人に頼るのは悪いことだというのは自立ではなく、孤立する人を作りやすいという事です。
人に依存するばかりでは甘えすぎですが、相互依存が本当の自立です。そのために子どものうちから、にっこり笑う、挨拶をする、ちょっとした楽しい言葉かけなどを親がモデルとなって躾けるのが大切なのです。