No.002　夏休みと検診活動

毎年夏休みのシーズンを迎えると思い出すのは、私の学生時代の夏季無歯科医地区での活動です。
私が、現在、小児歯科専門で開業しているのも、そのルーツを探れば、この無歯科医村にたどりつく。それは、昭和４５年の夏、広島と島根の県境の町、高野町という所です。 中国山脈の高原の町で、冬には雪が何十㎝も積もります。しかし、夏は涼しい楽天地です。秋にはリンゴがなり、大根などもたくさん作る林業の町です。
私たちのサークルがこの町をフィールドとしてその活動を展開して、もう１０数年にもなります。夏季の涼しさも手伝ってか、毎年楽しみながら診療、教育活動に参加したものです。勉強会や準備会などを入れると１年がかりではありますが、毎年、夏休み中の１０日間ぐらい現地に出かけるわけです。現地では、検診と簡単な治療、調査もしますが，口腔衛生思想の普及と称して、地域の子供達を通して、地域全体の口腔衛生への関心を高めるのが最大の目的です。初めの頃は、大学生を中心とした都会の生意気なよそ者といった感じで全然溶け込めなかったのですが、数年もすると、同年代の青年団を中心として、少しずつ慣れてきて、耳をかすようになり、知らず知らずのうちに私たちの訴えを聞いて、実行するようになりました。
毎年たった１０日間ぐらいの事ですが、１０数年も続けるとその成果は着実に実ってきます。私は、むし歯は毎日の生活の中で。少しでも防ぐ心掛けががあれば、その程度に応じて減ってくるものと信じていますし、また、その通りであることをこの１０数年の間に確信できるようになったのです。
むし歯は必ず防ぐことができると思います。