No.040 フッ素は効くか!!
先日、下顎乳前歯の内側から永久歯が生えて来て、2重になっているので心配 だと言って、6歳の女の子が来院しました。
乳歯はぐらぐらしていて、そのうち抜け落ちそうですし、内側に生えてきた永 久歯も、前の乳歯が抜ければ舌に押されて前の方へ出てきますからそのまま放置 して観察しておけばよろしい、とお話しし一件落着です。
さて、その6歳の女の子のお口の中はどうかといいますと、永久歯はその生え かけの2本だけで、乳歯はまだ全部揃っています。その上、1本も虫歯はありま せん。奥のほうの臼歯部も、噛み合わせの溝などはかなり複雑で深いのですが虫 歯にはなっていません。
最近、虫歯のない子がかなり増えてきてはいるのですが、この子は普段私の診 療所へ来る子供達とは大分違います。
そうです、この子はお母さんの里帰りでオーストラリアから2カ月程前から日 本へ来ているのです。日本語がほとんどお話しできないので非常に不安な様子で す。この子にはお姉ちゃんがいて、その子もやはり虫歯で悩まされたことはない、 とのことです。お母さんに虫歯のないことについて何か特に気をつけられた事は ありませんかとお聞きしました。すると、特に何もないのですが、妊娠中にフッ 素の錠剤を生まれて来る子供の歯を強くするために飲んでいたとのことです。そ して、オーストラリアでは水道水にフッ素が入っているとのことです。
日本では、子供の虫歯は減少傾向にあるとはいえ、まだまだ虫歯で苦しんでい るとお話しました。すると不思議そうな顔をされて、むこうのテレビでいつか、 お母さん達の子供の頃には虫歯があって、その治療のためにドリルで削って痛い 目にあったものですと言うと、子供達がウソー!ホント?といったシーンが放送 されていたということです。
虫歯が氾濫している現在の日本では到底考えもつかない光景なのですが、その ような状況が現実に、世界の中に存在しているのです。
世界各国、それぞれの事情がありどこの国でも同じようにはいきません。 日 本では、いや、あなたのご家庭で現実にどのようにして虫歯を減らせますか。水 道水のフッ素化ができない日本では不可能なのでしょうか。私は今の日本の現状 でも可能だと考えます。その辺のことについてもう少し掘り下げて見たいと思い ます。(つづく)