No.048 ブラッシングを見直そう!!
先日、待合室にポスターを掲示してありましたが、高石市保健センターで中高 年の歯の健康教室があり出務しました。私は小児歯科専門ですから少しお門違い のような気がするかもしれませんが、小児歯科は健全な永久歯列を育成すると共 に私の患者さんが一生涯にわたって良好な歯の健康を維持できるように未来を 予測しながら診療に当たるためにも常に留意する必要があります。ともすれば、 子供の口の中だけを見て、それ以降の事を忘れてしまいそうです。心しなければ ならないことです。
さて、その中高年の歯の健康教室では、まず歯槽膿漏についての講演がありま した。歯槽膿漏を予防、あるいは治すためには先ず毎日の歯磨きによる病原菌(歯 垢)の除去、そして、歯肉のマッサージが不可欠です。最近では、かなり重症の 歯槽膿漏でも歯石の除去、不良肉芽、病巣の除去そしてブラッシングによる歯口 清掃および歯肉のマッサージなどで治すことも可能だと多くの報告がなされて います。
虫歯に対してブラッシングをしたからといって虫歯が治ることはありません。 せいぜい現状維持と予防だけです。歯肉の病気に対しては治療効果が期待できる と共にもっと積極的に、歯肉のマッサージ効果によって、歯肉をより一層健康に 維持するのですから、もっとブラッシングを重視し、早くマスターする必要があ ります。
講演の後、参加者の口腔検診を行ったのですが、やはり、そのような会に出席 される方たちですから普段からよくブラッシングをしておられるらしく、本当に ひどい歯槽膿漏の人はおられなかったのですが、逆にブラッシングのやり過ぎ、 不適当なやりかたによる問題が目につきました。
何十年間も不適当な磨き方で、同じ場所をゴシゴシしていてはどんなに丈夫な 歯でも擦り減ります。そのためのダメージがほとんどの方に見られたのは残念な ことです。
中高年の方の歯磨きは、ブラシの毛先を使って、小さく振動させるようにして、 歯と歯の間、歯と歯肉の間を掃除すると同時にマッサージするのです。また、毎 回歯磨剤を付けて磨くのも考えものです。歯磨剤を付けると歯は擦り減ります。 付けなければ歯の方がブラシのナイロンよりも強いので擦り減る事はありませ ん。
はてさて、これらは何も中高年の方に限っての注意でもなさそうですネ!!
(つづく)