No.070 治った指しゃぶり
先日3歳の女の子のお母さんから、先生のお陰でこの子の指しゃぶりがすっか り治ってしまいました。今まで本当に苦労して、思いつくありとあらゆる事をし たけれど、ちっとも治らなかったのに、初めて小児歯科に来院して指しゃぶりの お話しを聞いたら、その日からすっかり止まってしまいました、と言われるので す。
私の方も、今まで何百人いや何千人と指しゃぶりについてお話して来て口や顎 に悪影響を来している子の指しゃぶりの癖を止めさせるために苦労し続けてい るなかで、こんなに簡単にスカッときれいさっぱり止まったと言われては、何だ か狐につままれたようで、あるいは何となく小児歯科医として誇らしくも感じら れるような気持ちにさせられたのです。 そのお母さんにお聞きすると、指しゃ ぶりを3歳にまでなっても続けていると、出っ歯(開咬)が元に戻らなくなり大 人になっても、小さいときに指しゃぶりをしていた痕が残るといった様なお話し を聞いたからだといわれるのです。
普段、何度となくお話していることで、なかなか効果が現われないなあと思っ ていたことだったのですが、その子にはドンピシャ、タイミングよく理解できた のでしょうか。
指しゃぶりのような癖の場合、ほとんどはどんなに永く続いても小学校に上が る頃までにはなくなります。それでも続く指しゃぶりは単なる癖の範疇から外れ、 もう少し詳しく調べる必要があるかもしれません。しかし、いくら小学校へ上が る頃までには治るといった単なる癖であっても、永年持続した指しゃぶりによっ て、変形された顎の骨の形や歯の噛み合わせが、元の正常な状態に戻らなくなっ てしまっていては困りものです。口をつむった時下の唇が上の前歯の内側に入り 込みます。上の唇が歯によって鼻の方に押やられて縮んでしまったらもう元には 戻りません。やはり、3歳位までには卒業したい、たわいもない癖であってほし いものです。