No.072 歯科検診を終えて
新年度が始まり早や3カ月が過ぎ、毎年の歯科検診がだいたい済んだ頃だと思 います。皆様のお宅ではどうでしたか。
私も毎年スタッフの協力を得て公立と私立の幼稚園および保育所など4つの 施設に検診に出かけます。
先日、学校での歯科検診で虫歯が0ということでクラスの皆の前で表彰しても らったという子が定期検診に来院しました。自信満々の来院だったのかも知れま せん。しかし、当院での検診の結果、歯と歯の間に虫歯を見つけられ、しょぼん としていました。私は気の毒なことをしてしまったような気になりました。折角 気分良くしていた子を悲しませるなんて、と思うのですが、このような事はよく あることなのです。
実際、小学校のように生徒数の多いところでは、1日に何百人もの子供の口の 中を数時間で、それも十分照明されていない所で検診するのですからある程度は 仕方の無い事でもあるのです。また歯と歯の間の小さな虫歯は、たとえ照明など が十分でも、なかなか見つけにくいのです。その上、虫歯があるらしいと思われ ても直接目で確認できるか、探針という器具で突き刺さるか、レントゲンで確認 するなどしなければ虫歯と断定はできないのです。ですから歯科検診などの場合 は虫歯だとはっきりしているものしかチェックされないのです。そのほか、特に、 歯肉に炎症はないか、歯並びに特に問題はないか、そして口の中が十分清潔にで きているかなどを大まかにチェックし、問題のある子をスクリーニングし、必要 に応じて適切なアドバイスを与えるのです。
そこで、今年の歯科検診を終えての感想をと申しますと、 1検診の日だというのに口中が汚れている子はやはり虫歯もひどいようでした。 家庭での心遣いが口の中に結果として反映しているようです。 2ちいさな子供でも歯肉炎が多数見られました。歯肉の刺激が足りないようです。 33歳を過ぎても指しゃぶりをしているので噛み合わせても前歯が閉じない子 がかなりいました。 4全体としては、虫歯は以前に比べて相当軽症化し減少しているように思われ、 多くの家庭で、子供たちの口の中の健康のために配慮がなされているように思わ れました。