No.089 むし歯予防にお茶の効用を!!
先日、日本小児歯科学会近畿地方会の大会が阪大歯学部で開かれました。 当日のシンポジウムの一つに「茶成分の科学」と演題がありました。 お茶は私たちの日常生活で、気分転換や眠気防止などに欠かせないものとなっ
ています。その飲用は、2~3千年の歴史を持ち、一口にお茶といっても、日本 人に馴染みの深い緑茶、そして近年日本にも定着しつつある中国茶の代表ウーロ ン茶、イギリスに代表される紅茶などと、種々のお茶があります。茶は中国南部 を原産地とする常緑低木の植物でツバキ科に属し、その葉を加工したものがいわ ゆるお茶になるとのことでした。いろんな種類のお茶がありますが、それらすべ て茶葉という同一原料から作られ、またそれらのお茶の違いは製茶法に由来する とは、私は知りませんでした。 話によると、摘み取った茶葉には酵素があり、 そのままにしておくと自然に発酵が始まるのだそうです。その発酵を行わないも のが緑茶で、途中まで発酵させたて、釜煎りといわれる加熱行程を施したものが ウーロン茶です。そして完全に発酵させたものが紅茶だそうです。つまり、この 製茶法の違いで形や色、味などが異なった種々のお茶ができるのです。これらの 成分が茶特有の味や香りを生み出していると同時に異なった生理機能を示すの です。
ところで、その時の発表の中で、ウーロン茶抽出物に、虫歯菌の歯への付着を 阻止する機能があるということでした。ウーロン茶の虫歯予防の効用が期待でき そうだと言うのです。そういえば、ウーロン茶を飲んでいるために歯が黒く着色 している子には見ためが汚い割には、虫歯は少ないような気もします。そして、 時をほぼ同じくして、中国上海鉄道医学院から留学して来られた楽先生が、やは り中国から色々な種類のお茶を持って来られて、虫歯予防に効くお茶の研究をし ているとのことでした。
中国では、現在、ひと昔前の日本のように子供の虫歯が爆発的に増えていて、 社会問題にまでなっているようで、なんとかウーロン茶を利用して抑えたいとの ことでした。
日本の番茶の中にフッ素が多く含まれていて、虫歯予防に利用できるという研 究報告もあります。