No.122 やめたい口呼吸 -パ-ト2-
先月、口呼吸について書いたところたくさんのお母さんから心当たりがあると いう反響がありました。幼小児のいろいろな口腔習癖のなかで一番多いのが吸指 癖(親指しゃぶりなど)で習癖の約半分がこれです。次いで多いのが咬爪癖で吸 指癖の約半分で、それよりすこし少ないですが口呼吸が続き、これらで全体の9 割を占めます。吸指癖は2、3歳から急に減少するのに対し、口呼吸は吸指癖や 咬瓜癖のように見た眼にも良くない悪癖といったイメージがなく、鼻炎などに付 随する疾患との区別もなく、放置されている場合が多く、大きくなるに従い増え る傾向にあります。
口呼吸習癖は食べた物を飲み込む時やお話しをしている時の舌による前歯部 の圧迫習癖を伴います。すなわち、口呼吸習癖の人は、唇を閉じずに舌で歯列を 塞いで陰圧を作って飲み込むため、前の歯を押しつけるのです。そのために上の 前の歯が押し出された上顎前突症や、場合によっては上の歯を押し付けるのでは なく、たまたま下の歯を押し付けていれば下顎前突症にもなります。また、前の 上下の歯の間を押し付けていれば、上下の間にすき間のできる開咬といった不正 咬合も作るのです。 このことについては、以前にも何度か書きましたが、歯は ごく小さな力でも持続的に掛けてやるとその力の方へ徐々に動くのです。 口呼 吸の結果、極端な歯肉の乾燥状態がつづき歯肉の慢性炎症を憎悪させ、前歯部歯 肉の肥厚をもたらします。また鼻呼吸をしないことによる鼻呼吸の機能低下によ り、顎、口蓋、歯列、口唇、鼻腔などの形態異常や機能不全が起こり、独特の顔 を呈するのです(アデノイド顔貌)。
そのほか、扁桃炎、鼻咽喉炎などの内科的、皮膚科的疾患の原因になることが あるようです。
この口呼吸習癖は水泳などの練習でつく場合があるのでよく注意する必要が あります。また、歌を唱ったり、お話しをしたりする時の息のつぎかたも注意し てやる必要があります。
正しい食事習慣としては、唇を閉じて一口に30回程度の咀嚼を両側の臼歯部 でまんべんなく行うように指導する必要があります。
このように、ちいさな子供の間に正しい呼吸法や咀嚼法を身につけてやる必要 があります。