No.137 食中毒事件を教訓に -パ-ト2-
今年の夏は病原性大腸菌O-157による食中毒で世間は大騒ぎでした。
しかし、気候も寒くなり、堺市の学校給食も再開され、やっと落ち着いてきた ようです。
大橋小児歯科にも,O-157に感染して、血尿が出たという子もすっかり元 気になって定期検診に来られました。
大腸菌は他の菌と比べて、環境の変化に適応能力が高いので、大腸だけでなく、 まな板にも、包丁にも定着して増殖します。ですから食中毒の予防は手洗いが第 一ということになります。そこで私の診療所では、親子で学ぶ手洗いハンドブッ クを用意しています。この機会に改めてお子さんに1手洗いの習慣をつけて上げ て欲しいものです。
では、大腸菌で感染したものが、手で口に中に入ったとして、大腸菌は口の中 で定着できるでしょうか?
ノ-です。口の中ではムシ歯菌などもっと強力な口腔内常在菌が先に定着し ているし、唾液中の杭菌物質などの影響で、定着できません。 次いで、口の中 を素通りして胃に入ったらどうでしょうか?
大腸菌は水道水の塩素でもすぐに死ぬというくらいですから、胃の酸(PH.1.2) では簡単に死んでしまいます。
ところが、今回のように、大腸菌は胃の中でも死なずに、腸管まで行ってしま って増殖し、中毒を引き起こしてしまったのは どうしてでしょうか?
その原因の一つに、食べ物をよく噛まずに、飲み物で流し込むようにして食べ ると、胃酸が薄まり、熱処理の十分できなかった肉塊、ハンバーグなどの中心部 の大腸菌は胃を通り抜けて、腸まで行ってしまうことも考えられます。胃の下の 幽門は液体が来ると開くようにできているということです。
ですから、食事の時は2飲み物と一緒に食べない。3しっかりよく噛んで食べ る。4お茶は食事の後に。といったことが今回の食中毒事件からの教訓として心 得る必要があると思います。
『噛むことの大切さ』が改めて思い知らされたような気がします。