No.144 珍しくなった前歯の黒い子
先日,小学1年生の男の子がお母さんと一緒に、下の前歯が、内ら側から生え てきたので心配だと来られました。
下の前歯は永久歯の中で最も早く生えて来る歯です。乳歯の内ら側から生える のが一般的で、生えるにつれて乳歯がぐらつき、脱落し、永久歯にとって代わる のです。
この様子を称してエスカレーター式交換というのです。 今回は少し内ら側に偏りすぎたため、乳歯がうまく脱落しなかったようです。 これは、少量の麻酔をして簡単に抜けたので一件落着となりました。 ところで、この子の口の中を見た時、なんと前の歯から奥の歯まで真っ黒では
ありませんか。確かに奥の歯には虫歯の治療がしてあり、前の歯と歯の間には小 さな虫歯がありますが、さほどひどいというわけではありません。
お母さんにお聞きすると、最近引っ越ししてきたのですが、前に住んでいた所 では皆がこんな黒い歯をしていたので、何ともなかったのですが、こちらに来た らこんな黒い歯の子が一人もいなくて、皆に珍しがられています。皆と同じよう に白くできるものならお願いしますとのこと。
そういえば、この診療所のある羽衣の辺り今から10年以上前にはこんな歯の 子がたくさんいたものです
最近では、奥の虫歯も少なくなり、前の歯の治療を希望される人が多くなり、 またその治療ができるようになったのです。
むしろ、小さなお子さまの場合、お母さん方の第一番の希望は前歯を綺麗にし てほしいという事のようです。
このような前歯が全部真っ黒な子を見ると、全国にはいろいろな所があるもの だなあと思いました。そして、この辺りはかなり口の中の状況がよくなったのだ なあとつくづく思うのです。
しかし、今の状態で満足していてはいけません。人生80年時代、一生自分の 歯で食べることができるためには、子供の頃から歯の手入れがよく行き届き、が っちりした噛み合わせで、何でもよく噛めるのでなければならないでしょう。