先日、中学生の女の子が定期検診で来院しました。現代っ子らしく、たまごっ ちをぶら下げ、リュックを背負って来たのですが、透明のリュックにはどう見て もドロップの缶が入っています。

小さい頃から永年来院しているのですが、虫歯が止まりません。

こんなに虫歯で苦労しているのですから、歯医者は嫌いかというとそうではな く、好きだといってくれます。それにしても、あまり虫歯の子に好かれても困り ものです。

甘いお菓子が大好き、歯磨きは嫌いではないが気まぐれ。歯医者は嫌いでもな いし、治療もそれほど苦痛とは思わない。

まさに歯医者のお得意さまと言うことになるのかもしれないのですが、虫歯予 防を前面に取り組んでいる小児歯科医にとっては、少々困ったものです。

ところで、最近歯にやさしい甘味料としてにわかにテレビなどで宣伝されてい るのがキシリトールで、今年の4月厚生省が使用できる食品添加物として認可し た甘味料なのです。 最近、私の医院にも試供品が次々と送られてきます。また 歯科医院での販売を奨めてこられます。

試しに何種類かのキシリトール入りガムを食べてみましたが 1甘味はそれほ ど嫌な味ではなく、砂糖に近い物です。2食べたときにエネルギーを吸収するの でスーッとした清涼感があり、3ミュータンス菌などで発酵されないということ で、砂糖入りガムを食べたときのようにヌルッとした歯垢は付かないようです。

宣伝の通り、虫歯の原因にならない上に、むしろ虫歯を予防する 効果があるのであれば、その子のようなお菓子好きにとってはこの上ない贈り物 ということになります。

虫歯にならないのならガムで噛む訓練も考えられます。

これまでにも色々なシュガーレスの甘味料が出てはすたれましたが、今度こそ は本物であってほしいですね。まず確かめないといけないのは、キシリトール1 00%ではなく、他の糖が混じっていて虫歯の原因になるものです。

お菓子を食べても虫歯になるどころか予防する。噛む訓練にもなると…。本当 によい物かどうか見極める必要があるようです。