No.129 おたふくかぜと歯の治療
先日、顎が腫れて痛いと女の子がお母さんに連れられて来院しました。 ムシ歯などはないかよく調べましたが、特にそれらしき原因は見当たりません。 どうもおたふくかぜのようですから小児科を受診するように勧めました。 結果はやはりおたふくかぜだったようです。 おたふく風邪(流行性耳下腺炎)
は急性のウイルスによる伝染病で、唾液腺(おもに耳下腺)の痛み、耳のうしろ の腫れが特徴です。発症部位が顎の後ろで食事のときものをかむと耳の下が痛み、 歯や顎の病気ではないかと思い歯科を受診することがあります。特に、歯科の治 療中におたふくかぜにかかった場合はその歯がまた痛んだと思い込んでしまう 場合があります。
□5~15歳の小児期に感染することが多く、一度感染すれば終生免疫です。
□病原ウイルスは主として患者の唾液中に含まれます。
□発症1~2日前より3日目までは感染の危険性がきわめて高いです。
□ 伝染 は主として患者の唾液からの直接伝染です。
1 唾液より感染するので、おたふくかぜと診断され たら歯科医とよく相談 して、しばらくの間は歯科治療を避けましょう。
2 食事のときに痛むので、あまりかまなくてもよい、軟らかいものを与えて ください。
3 十分安静をとり、医師の指示に従い、他人との接触を避けるようにします。
現在は、おたふくかぜは治療よりも予防の時代です。1歳すぎたらなるべく早 くワクチンを接種してもらいましょう。